ごあいさつ

地域包括ケア教育研究センター(CoHRE)のサイトをご訪問いただき、ありがとうございます。センター長の並河と申します。

今日、皆さまはどのようなきっかけでこのサイトを訪れて下さったのでしょうか。多分「地域包括ケア」などのキーワード検索で引っかかったサイトの中からちょっと覗いてみて下さったのではないかと想像します。期待通りのものだったかどうかわかりませんが、これも何かのご縁ですので、ほんの少しだけ時間を割いて私たちの活動について知っていただければと思います。

地域包括ケア教育研究センター(The Center for Community-based Healthcare Research and Education [CoHRE]) は、島根大学が2006年に始めた「重点研究プロジェクト」がきっかけとなった学際的研究を起源としています。当時島根大学は、自力でオリジナリティのある研究を育てることを目指して学内で学際的プロジェクト研究を公募し、乏しい予算を削って捻出した研究費をそれに充てる仕組みを起ち上げました。私たちは、中山間地を抱え国内トップクラス(ということは世界でも有数)の高齢化が進行する島根県でこそ可能な、「地域貢献と融合可能な先端的研究」を起ち上げることを目指して「重点研究プロジェクト」に応募し採択されました。その後、大学の支援を受けながら10年余りにわたって研究・教育活動を続けてきた次第です。その間、「疾病予知予防研究拠点」を名乗っておりましたが、2013年からは「疾病予知予防プロジェクトセンター」となり、今回2017年4月より、研究・学術情報機構内に新設された「地域包括ケア教育研究センター」として新たに出発することとなりました。 

私たちの活動は地域の皆さまのご協力によって支えられているものです。これまで長年にわたり活動を続けて来られましたのも、ひとえに、ご協力下さいました自治体、地域住民、地域医療人の皆さまのおかげと感謝申し上げます。まだまだ目指すところに届くまでには努力が必要と思いますが、これからも温かいご支援を賜りますよう、なにとぞお願い申し上げます。

 

 

2017年7月
島根大学研究・学術情報機構地域包括ケア教育研究センター長
並河 徹

並河先生

 ミッション

地域包括ケア教育研究センターは、高齢化の進む中山間地域を多く抱える島根県ならではの、地域貢献と融合可能な独創的研究の開拓を目標とし、次の3つをミッションとします。

  1. 地域住民、自治体と協働して、いっそうの健康長寿を実現する。
  2. 島根大学の各学部および地域間連携の拠点となり、地域の健康づくり、コミュニティづくりに積極的に貢献できる人材(「つなぐ人材」)の育成に関与する。
  3. 地域での健康づくりに有用なデータの収集、保存を行い、それを用いた先端的共同研究の核となる。

活動概要

地域包括ケア教育研究センターの活動は、下図のように3つの柱から成ります。

ごあいさつ 

第一の柱は自治体と共同で実施している事業で、地域での健康調査、ヘルスケア事業や特産品を活かした健康食品開発事業、健康づくり活動への協力などがあります。中でも健康調査は2006年から継続している、センターの軸となる事業で、住民の方々のご協力の下、これまでに5000件以上の血液およびDNA検体、7000件を越える健診情報を収集、保管しています。これらはいずれも名前や住所などの個人情報を外して厳重に管理されています。

第二の柱はAcademic Knowledge Network (AKN)の活動です(下図)。これは、センターが持っている研究のノウハウやリソースを活用して、地域医療の第一線で活躍している医療関係者(医師はむろんですが、看護師、保健師、理学療法士、行政の担当者なども含みます)が、現場で得た研究シーズをまとまった研究成果として結実させることができるようにサポートする仕組みです。すでに島根県内の10名近い医療関係者とネットワークを形成して研究を進めており、国際誌への論文発表や学会発表、学位取得などの目に見える成果も挙がってきています。

地域包括ケアAKN

第三の柱は他の研究施設と共同で行う先端的な研究です。私たちは、地域コミュニティの持つ力である「ソーシャル・キャピタル」に注目した研究や地理情報システム(GIS)を用いた健康情報の解析、経済学的手法を用いた「健康プロモーション」の価値の客観的定量的測定とそれに基づく疾病予防戦略の立案など、独自性の高い学際的研究をスウェーデンのルンド大学、京都産業大学などと共同で進めています。

地域貢献を目指す文理融合型研究

地域包括ケア教育研究センターは、自治体との共同事業、AKNの活動を通じて、大学の研究者、学生と地域とを直接結びつける役割を果たします。その中で、様々な分野の研究者や学生が交流し、同じフィールドで活動する機会を提供することで、複眼的視点を身につけた人材(つなぐ人材)が育っていく「場」を作ることができると考えています。同時に、異分野の研究者の交流から、新たな学際的研究が生まれてくることを期待しています。当センターはそのための「孵卵器」でありたいと考えています。

いっそうの健康長寿実現のために

加齢に伴う身体機能、認知機能の低下を防ぎ、いっそうの健康長寿を実現するために、コミュニティの潜在的な力を活用しよう、というのが地域包括ケアシステムにおける「共助」の考え方です。しかし、それは「上から」強制されてうまくいくものではありません。様々な活動を、コミュニティ・メンバーが楽しみながら無理なく自発的に実践できるためにはどうすればよいのか、そのような活動、地域の「つながり」を健康課題の克服に役立てていくにはどうすれば良いのか、それを地域の皆さまや様々な分野の研究者とともに考えていきたいと思います。

健康長寿社会実現